事故災害研究室: ◆甲子園球場「ABCヤングアイドル野球大会」将棋倒し事故（1983年）

　1983（昭和58）年6月4日のことである。その事故は、兵庫県西宮市甲子園町の阪神甲子園球場で起きた。

　この日は「第8回ABCヤングアイドル野球大会」なるイベントが開かれていた。

甲子園球場

　イベント主催者は大阪朝日放送で、どうやら当時の「ヤングアイドル」たちが野球をするというものだったらしい。

　この時の出場者はたのきんトリオやシブがき隊、明石家さんまら若手落語家などのそうそうたる顔ぶれだったそうな。まずさんまが「若手落語家」というあたりにものすご～く時代を感じるのだが、とにかく豪華イベントだったのだろう。

　イベント開催中は何事もなく済んだ。問題はその後である。

　ゲーム終了後、くだんの「ヤングアイドル」が球場外に出てくるのを約１万人の若者――その多くは十代の少女たちだったらしい――が待ち伏せしていたのだ。その中でこんな情報が飛び交ったからさあ大変。

「近くのライトバンにタレントが乗ってるらしい！」

　デマだった。

　これを真に受けた少女たちは、当のライトバンをめざして、球場前の阪神高速道路の高架下にあった広場へ殺到。時刻は19時、将棋倒しが発生して20名が押し倒された。

　これにより後日女子高生1名が死亡、9名が負傷した。