2020(令和2)年9月27日、午前0時半のことである。中国西部の重慶(ちょんきん)市の綦江(きこう)区にある炭鉱で火災が発生した。
この炭鉱は松藻炭鉱といい、石炭の採掘と発電を手がけている国営エネルギー会社「重慶能投渝新能源」という企業が管理していた。そこで使われていたベルトコンベアーが発火したのだ。
これによって、坑内に閉じ込められた17名の作業員のうち、16名が一酸化炭素中毒で死亡。残る1名も重体となり病院に運ばれた。現場には、鉱山救助隊75人と医療関係者30人が駆け付け、救助活動とあわせて事故原因調査が行われたという。
今回の事故を起こした「重慶能投渝新能源」は、もともと危ないところがあったようだ。
重慶市の炭鉱安全管理当局によると、2019(令和元)年後半には、発破のやり方が不適切だったとかで炭鉱の管理者7名に行政罰と700〜4200ドル相当の罰金が科されていた。国営新華社通信の報道によると、今回の事故でも、坑内の一酸化炭素濃度は安全とされる上限値を上回っていたという。
炭鉱や鉱山での事故というと、日本では「昭和」というイメージだが、中国では今でも珍しくないらしい。今回の事故が起きた重慶市では、実はその後の同年12月4日にも、永川区の炭鉱で同様の一酸化炭素中毒事故が起きている。
この事故については、どの新聞記事でも「一酸化炭素の濃度が上昇する事故」としか書かれておらず具体的に何が起きたのかは不明なのだが、坑内に閉じ込められた24名中23名が死亡している。現場となった炭鉱は、もともと安全管理に問題があるというこで2カ月前には閉鎖し、事故発生時には設備の解体作業中だった。
統計では、2017(平成29)年には中国国内での炭鉱事故は219件起きており、375名が亡くなっている。また2018(平成30)年には333名が死亡しているという。具体的にどういう事故だったのか一つひとつ調べてみたいところだが、情報はあまりない。
【参考資料】
◆重慶市の炭鉱で一酸化炭素中毒事故 17人閉じ込め
◆重慶市の炭鉱で一酸化炭素中毒事故 16人死亡
◆炭鉱で火災、一酸化炭素中毒で16人死亡 中国・重慶
◆炭鉱事故で23人死亡、中国重慶、CO濃度上昇
◆中国 炭鉱事故で23人死亡 一酸化炭素の濃度が上昇