◆北上川バス転落事故(1955年)

 まずはこの行程を見て頂きたい。

 花巻市出発(朝6時15分)
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 仙台市
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 松島見学
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 塩釜市にて一泊
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 塩釜市発(早朝)
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 三陸海岸
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 花巻へ戻る

 筆者は車を運転して遠出をする習慣というのがないので、一泊二日でこの行程をこなすのが「無理」と言えるのかどうかはよく分からない。

 ただとにかく、1955(昭和30)年という時代の道路状況を考慮すれば、事故の原因がこの「無理な行程」にあったのはほぼ間違いないようだ。

 というわけで、北上バス転落事故である。

 事故を起こした観光バスは、修学旅行の帰り道だった。先述の行程を済ませて花巻へ戻る途中の5月14日午後7時30分頃、小学生たちを乗せた状態で国道4号線から北上川へ転落したのである。

 この時バスに乗っていたのは、岩手県稗貫郡石鳥谷町(現・花巻市)の八日市小学校の6年生たち。北上川の支流・大堰川にかかる飯豊橋から落ちたことで12名が死亡、重軽傷者28名を出した。死亡者のうち4名が生徒たちで、残りは引率や付添の大人たちだった。

 事故の原因は、前からやってきた自転車をバスが避けようとし、それで橋の欄干を突き破ったことだった。まあ運転手のミスなのだが、しかし先述の「無理な行程」のせいで運転手も焦っていたのではないかとも言われている。

 どうも今も昔も、バス事故というのは運転手に過度の負担がかかったせいで引き起こされるパターンが多いようだ。

 この時代は、「修学旅行中の事故」が続発した時期でもあるらしい。有名な紫雲丸事故や、東海道線で起きた東田子の浦の列車火災事故などは、この北上バス事故と前後して3日おきに発生しているから驚く。これもシンクロニシティというやつだろうか。

【参考資料】
◆ウィキペディア

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