◆三重県二見町バス転落事故(1954年)

 1954(昭和29)年10月24日に起きたバス事故である。先に書いた佐賀県の嬉野の事故からほんの2週間程度しか経っていない。

 場所は三重県度会(わたらい)郡、二見町の松下池の浦である。地図で調べてみたところ伊勢湾の湾口あたりらしい。

 午後2時10分、一台の三重交通定期バスが鳥羽を出発した。これは宇治山田行で、定員は70人。ところがこの時、車内には81人が乗っていた――。

 また定員オーバーである。

 ここまで多くのバス事故事例をルポってきたが、もう何度めであろう、このパターン。さすがの筆者もいい加減にしろよ~と声を上げたくなってくる。

 さてこのバス、資料によると、どうやら前方を走るオート三輪が邪魔で追い越しをかけたらしい。

 そこでバランスが取れなくなってしまった。追い越しのために右ハンドルを切ったはいいが、そのままバスは一回転して、池の浦の湾内にある入江へ転落したのだ。時刻は午後2時26分であった。

 そして高さは5メートル。これにより、バスの後ろの席の乗客が「下敷き」になった。バス内で他の乗客の下敷きになったのか、それとも外に投げ出されて車両の下敷きになったのかはよく分からないが、とにかくこれによって子供2人を含む13人が死亡したという。

【参考資料】
ウェブサイト『誰か昭和を想わざる』

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