記録によると時刻は「午前12時35分」とあるが、午後の間違いでなければ深夜もいいとこである。一台の観光バスが、国道168号線を走行していた。
このバスは熊野観光のもので、和歌山県東牟婁(ひがしむる)郡本宮町八木尾から新宮へと向かっていたところだった。目的地へはもうすぐで、距離にしてあと7.3キロほど。しかしそこへ辿り着くことなく、このバスには悲劇が訪れる。
何かに乗り上げてしまったのだろうか、どうも「車がバウンド」してハンドルが利かなくなってしまったらしい。バスは国道から外れるとゴロンゴロンゴロン、3回転して転落、27メートル下の熊野川へ逆さまに突っ込んだ。屋根を下にして3分の2ほどが水没したというから、なんと申しましょうか、犬神家の一族状態である。
こによって8人が死亡、24人が負傷した。
元ネタである新聞記事には、負傷して一命を取り留めた48歳の女性のことが特に取り上げられている。それによると、彼女自身は助かったのだが、一緒に乗車していた3人の娘は命を落としたという。40年以上前の事故だが、今からでもご冥福をお祈りしたい。
【参考資料】
◆ウェブサイト『誰か昭和を想わざる』
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