そしてさらに、旧伊豆田隧道が掘られる以前には、人々は「伊豆田坂峠」という場所を通っていた。これは今も山道として今も残っているようだが、幅は狭く車が一台通るのがやっとだという。
1957(昭和32)年6月28日、その伊豆田坂峠で事故が発生した。時刻は午前9時、一台の団体貸し切りバスが転落したのである。
このバスは足摺岬へ向かう途中だった。それで峠の山道を走っていたところ、背後からトラックが迫ってきて追い越しをかけてきたのだ。
おいおい危なねえな、こんな道で追い越しかよ。仕方ないちょっと道を空けてやるか――。運転手はそんな風に気を利かせたのかも知れない。しかしこれによってバスは道の端に寄りすぎてしまい、しかも雨のせいで地盤が緩んでいたこともあり転落してしまったのだった。
結果、5名が死亡。現場には今も地蔵が祀られているという。
ところで、今回参考にさせてもらったホームページがあるのだが、それによると、この事故が起きた道路は今でも路線バスが走っているのだそうな。驚きである。
【参考資料】
◆ウェブサイト『誰か昭和を想わざる』
◆ウェブサイト『高知県の旧トンネル・廃隧道一覧』
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