1954年(昭和29)年10月7日に起きた事故である。
現場は佐賀県の嬉野市。当時はまだ「嬉野町」だったようだ。温泉や隠れキリシタンの史跡などでも有名な地域である。
朝の午前7時15分のことだった。嬉野町大船という場所で、国鉄の不動山線バスが15メートルの崖から転落したのだ。
バスは、午前7時に皿屋谷駅を出発したばかりで、嬉野へ向かう途中だった。
転落した原因は不明だが、当時バスには80人が乗っていたという。それでは何かの拍子でバランスが崩れればすぐ倒れるだろうし、また大惨事にもなるだろう。もともとかなり危うい状況だったのだ。
この事故で13名が死亡した。ほぼ半数の6名が十代の若者だったというから、早朝から車内がぎゅうぎゅう詰めだったのは通学用か何かだったのかも知れない。
慰霊碑は今もある。参考サイトによると、嬉野温泉から牛ノ岳という場所へバスで向かうと、大船-馬場入口のところで右側に見えてくるという。サイトで写真も見られるが、屋根付きで台座もしっかりした立派な慰霊碑である。
(追記)
その後、本稿を読んだという読者の方からコメントを頂いた。サイクリングの途中でこの慰霊碑を見つけたという。今も造花が供えられており、大切に扱われていたそうだ。
【参考資料】