どぼずばああああああん。
2008(平成20)年4月7日のことである。横浜市金沢区福浦にある日本カーリット株式会社の工場で爆発が起きた。
え、また?
そう、またなのである。――と言っても前回の事故からは50年も経っているのだが。
ネット上の情報をざっと眺めてみたが、この2008年の爆発の時刻は定かではない。当時の新聞もチェックしてみたのだが、事故のニュース自体が全然載っていなかった。
現場は敷地内の実験棟で、従業員2人が病院送りとなった。うち1人は死亡している。なんだか死傷者数までもが、50年前の同社の爆発事故と似通っていて不気味だ。
爆発の原因だが、「化学物質トリクロロシランなどの液体をオートクレーブで混ぜる際、加湿装置から蒸気が漏れ、薬品と混ざって化学反応を起こして圧力が異常に上がり、釜が爆発した」らしい。素人としては、ハァそうですかとしか言いようがない。
まあ、それは物理現象としての原因である。人的ミスがあったのではないか、という観点で調べたところ、加湿装置とやらの自主検査を10年以上もサボッていたことが判明。これにより装置の劣化に気付かなかったのではないかと考えられた。
この加湿装置の自主検査について、当時の工場長はしなくてもいいと勘違いしていたらしい。ただ、死亡した従業員からは装置の老朽化を訴えられていたというから、これでは工場長、言い逃れもしにくかったことだろう。2009年12月16日、当時の工場長と副工場長は横浜地裁へ書類送検された。容疑は業務上過失致死傷である。
だがこれについては不起訴となった。仮に自主検査を行なっていたとしても、爆発の原因となった装置の亀裂を見つけるのは難しかっただろう――と横浜地検は判断したのだ。
この不起訴の方針が確定したのは、2009年12月28日のことである。資料によると、年明けには不起訴にすることが決まった――とあるが、実を言えばその後本当に不起訴になったのかは不明だ。これも新聞には載っていなかった。
さらに言えば、不起訴になったのは「3人」らしい。工場と副工場長、あと死亡した人の3人である。しかし死亡した人が副工場長だったのか、副工場長は2人いたのか、助かった人は副工場長だったのか、などの詳細は不明である。
ついでに、県警は消防法違反で日本カーリットとその営業課長も書類送検した。こちらは、トリクロロシランなる化学物質を、市の許可を得ずに法定貯蔵量を超えて貯蔵したのが引っかかってしまったらしい。これについては、不起訴になったという記述は見つかっていない。
【参考資料】
◆「化学業界の話題」
back