◆内モンゴル自治区赤峰市炭鉱爆発事故(2016年・中国)

  モンゴルには、中国国内の自治区である「内モンゴル」と、独立した国家である「外モンゴル」がある。この「内」「外」というのは中国から見た呼び方で、モンゴル人自身は「北モンゴル」「南モンゴル」と呼んでいるのだとか。

 この「内モンゴル」で起きた事故である。

 2016(平成28)年12月3日、午前11時30分頃のことだ。中国の内モンゴル自治区赤峰市の炭鉱で、爆発が起きた。

 この炭鉱は、「赤峰市宝馬鉱業有限責任公司」とやらが運営しており、赤峰市の市街地から約45キロ離れた場所にあった。

 爆発の原因は、いくつかの日本語のニュースサイトで調べたものの全く不明。しかも巻き込まれた人たちの人数も情報が錯綜しており、「事故当時、炭鉱内では136人が作業していた」「この爆発で181人の作業員が閉じ込められた」「149人が救出された」「同日午後の時点で36人が閉じ込められている」「作業員17人が死亡した」「4日までに32人の死亡が確認された」と、さっぱり数が合わない。海外ニュースならではのもどかしさである。

 事故が起きる前日の12月2日には、労働安全の監視当局が安全対策を見直すようにと全国の炭鉱業者に通達を出していたという。

 2016(平成28)年時点で、中国の炭鉱業は、安全対策の不備により世界で最も死者が多いとされている。実際、この内モンゴルの事故に先駆けて、11月29日には黒竜江省七台河市の炭鉱で爆発事故が起きており、作業員21人が死亡している。ボーッと生きてんじゃねえよ! とその「安全対策の不備」ぶりにツッコミを入れたくなるところだ。黒竜江省の事故については筆者も把握していなかったので、情報がネット上に残っているか調べてみたい。

 中国では当時、エネルギー消費のほぼ3分の2が石炭で賄われていた(今はどうなのか不明)。内モンゴルの事故が起きた直後には、中国政府はさっそく「早く生産を再開せよ」と指示したという。石炭の需要が高まる時期で、どんどん生産して価格を抑える必要もあったそうなのだが、この情報だけではなんだか血も涙もない印象である。

【参考資料】
中国・内モンゴルの炭鉱爆発で32人死亡、事故相次ぐ
炭鉱で爆発事故相次ぐ、今度は内モンゴル・赤峰市で17人死亡―中国
中国・内モンゴルの炭鉱爆発で32人死亡、事故相次ぐ
モンゴル情報クローズアップ!「内モンゴルとモンゴルの違いと由来」

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