◆丸玉屋小勝煙火製造工場爆発事故その1(1956年)

  1956(昭和31)年12月29日のことである。東京都府中市の下染屋にある花火工場で爆発が起きた。午前11時20分のことだった。

 どぼずばああああああん。

 この工場は、丸玉屋小勝煙火製造工場といった。

 爆発があったのは仕上工室第10作業場という場所だったのだが(と言われても具体的にどんな場所なのか想像もつかないのだが)、そこから6棟の火薬庫に誘爆して被害は拡大。敷地内は大火災に見舞われた。

 結果、200坪の敷地内にあった木造17棟の建物が全焼して従業員1名が亡くなっている。おそらく年末だからだろう、爆発が起きた時は工場はほぼ空っぽで、亡くなった従業員だけが残務整理にあたっていたのだった。あまりにも不運すぎる。

 爆発の原因はなんだったのだろう? まあ、花火工場なのである時突然爆発したと言われてもなんとなく納得してしまうのだが……。

   ☆

 ちなみにウィキペディアで調べると、なぜかこの爆発事故は、前に当研究室でもご紹介した、1953(昭和28)年の「小勝多摩火工爆発事故」と一緒くたにされており、サンドッチマン風に言えば「ちょっと何言ってるか分かんない」である。

 筆者は東京の地理に疎いが、少し地図を見ただけでも、丸玉屋小勝煙火製造工場があった下染屋と、小勝多摩火工があった晴見が離れているのはすぐ分かる。最初は、両者が同じ敷地とか近所にあったから、同一地区内で連続して爆発が起きたということで一緒くたにされたのかな、と考えたりもしたのだが、そうではなさそうだ。

 爆発を起こしたいずれの施設も「小勝」という単語が入っているので混同されたのだろうか。それとも、例えば経営者が同じ人だったとかということだろうか。本当のところは調べれば分かるのかも知れないが、今のところは不明である。

 というわけで、この花火工場の事故はウィキペディアでは別の爆発事故と一緒くたにされているが、当研究室ではあくまでも別の事例として書くことにした。

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 で、実はこの丸玉屋小勝煙火製造工場、翌々年の1958(昭和33)年の7月30日にまた爆発事故を起こしている。詳細は「その2」として改めて別項でご紹介したい。


【参考資料】
◆ウィキペディア

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