2018年5月10日木曜日

◆岸信介

 岸信介のことを、ちょこちょこと調べています。

 特に大きな理由はなく、なんとなく興味が湧いて関連本を読んでいたら、どんどん面白くなっていったのです。

 戦前に満州でブイブイ言わせていたとか、右翼の大物と親密だったとか、昭和の妖怪と呼ばれていたとか、まあいろんな逸話があります。

 そのへんの話だけを聞くと、なんだか物凄い悪徳政治家のように見えます。でも、表沙汰になっている範囲では、それほど悪辣なエピソードは見当たりません。

 戦後も、政界に復帰してからあっという間に総理大臣の地位にまで上り詰めますが、それはこの人の場合、持って生まれた強運のおかげでしょう。組閣してからも、意外と政治的な基盤は不安定だったようです。

 そして安保騒動に一区切りついたところで、自分の役割は終わったといわんばかりにさっさと退陣しています。

 一息に権力の頂点へ上り詰めたかと思えば、引き際を誤らずにやることやってサッと姿を消すあたり、全体として「そつがない」という印象です。

 そういえばこの岸という人は、戦後の総理大臣の中でも、有名ではあっても地味な印象を受けます。あんまり目立たない。

 それもおそらく、「そつのなさ」のせいでしょう。

 この人の国会答弁は、実にそつがなかったそうです。

 つまり、いわゆる失言や迷言のたぐいがない。

 そう考えると、政治家が知名度を上げるには、実はこうした失言や迷言の存在、そしてそれに伴ってマスコミから叩かれることが必要なのだろうか…と思えてきます。