2015年11月15日日曜日

◆美しさ

 最近は、「美的なもの」に関心があります。

 美的なものなんて言うと大げさですが、人間がもともと持っている、「美しさ」に対する大まかな感覚、程度の意味です。

 この感覚、僕らが想像する以上に、人間にとって重要なものだと思うのです。

 ひたすら機械的に稲刈りをしていた農家の方が、ふと顔を上げて、こう口にしたのを聞いたことがありました。

「見てよ、この刈り取り後の田んぼの風景。寂しいよね。こうなったらあとは雪が降るのを待つだけだな~」。

 毎年同じ作業の繰り返しでも、その作業の土台となる田んぼに、ちゃんと「美しさ」を見出していたわけです。刈り取り後の田んぼとは、その美しさが欠如した状態で、それに対してその方はしみじみ感慨を抱いていたわけです。

 別にそれだけで思いついたわけじゃありませんが、それまでずっとぼんやり考えていたことが、そこで形になりました。「ああ、人間ってみんな美しいものが好きなんだな」と。

 特に根拠はないんですが、日本で稲作がこんなに盛んになったのって、「田んぼの美しさ」という要素も大きかったんじゃないかと思うんです。

 田んぼは、四季折々で全く違う色彩を見せてくれます。水を張ってキラキラ輝いて、苗は青々と生長して、秋には見事な黄金色に。そして収穫はどっさり。話によると、一粒の種子から500粒は採れるとか? 他の収穫物にはないほどの豊穣な実りで、この増え方は他の農作物にはあんまりないんじゃないかな、と勝手に想像しています。

 そうした美しさが、生活の豊かさに直結している。田んぼにはそういうイメージがあると思います。もちろん栽培しやすいという点も無視できませんが、とにかく「美しさ」という要素も見逃せないと想像しています。

 この考えの元ネタを明かせば、柳田國男の『雪国の春』なんですけどね。椿に関する文章に感銘を受けて、それ以来、人間にとって美しさとは何か、美しさとは何か、としつこく考えるようになったのです。

 さてしかし、この「美しさ」の感覚は、時に厄介でもあります。これが「正しさ」の感覚と結びつけばなおさらです。

 それについては、また明日。

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