2014年6月15日日曜日

◆『「ストーカー」は何を考えているか』

 タイトルが秀逸です。「うまく狙ったな~」という感じはありますが、ストーカー犯罪について誰しも思っていることを、見事に言い表してくれました。

 ストーカー犯罪は、加害者の心のケア(嫌な言葉ですが)を抜きにして防ぐことはできない――。そうした観点から、何人ものストーカー、およびその予備軍のカウンセリングを行なってきた著者による本です。

 ストーカー犯罪やトラブルの詳しい事例や、加害者がカウンセリングを通して少しずつ「まとも」になっていったケースなどが、具体的に挙げられているので分かりやすく、興味深く読めます。

 僕がこの本に惹かれたのには理由がありまして。

 僕自身、十数年前にストーカーじみた心境に陥ったことがありました。

 ただその頃は、ストーカーという言葉自体がやっと浸透し始めた頃で、まだまだ認知度は低いものでした。僕はたまたま、ストーカーというその言葉をかなり早い段階から知っていて、自分は今まさにそれかも知れない……と思いつつも、誰にも理解される気がせず一人で抱えざるを得ませんでした。

 その心境そのものは、多少のトラブルと、荒療治を経て治まりました。遠い土地に引っ越して一人暮らしをし、物理的にも距離を置くことで無理やり気持ちを鎮めたのです。

 半年くらいは煩悶しました。

 あと、「小説を書く」とう手段があったのも僕にとっては幸いでした。自分が心の中で抱えていたものと力ずくで対峙し、なんとか言葉に言い表して、美化して、物語化して、作品の中に封じ込めることができたのです。

 自分の気持ちを鎮めたのはあくまでも家庭療法であり、力ずくだったのです。

 だから自分以外のストーカーが何を考えているのかは何となく想像がついても、彼らはどうすれば気持ちを鎮めることができるのか? ということは分からないままでした。

 それで、最近になってようやくストーカー加害者にもカウンセリングが必要だ、ということが言われるようになってきて、あーそうかも知れないなとは思っていたのです。

 そこへ来てこういう本と書店で出くわしたわけで。惹かれるのもむべなるかな、というわけです。