2014年5月29日木曜日

◆雨音のこと

 夜の雨音が、気持ちを落ち着かせるのは何故なのでしょう。

 それはたぶん、始まりも終わりも分からず延々と重なり合う雨音が、空間を無限に満たす終わらない「動き」を感じさせるからでしょう。

 空白は不安にさせます。

 音ひとつしない、よく晴れた静かな朝があるとします。

 ぽっかりと空は晴れ渡り、そこには空白があります。その空白は僕にとっての「可能性」で、さて今日は何をしようかな、という気持ちにさせます。

 でもそれが何日も何日も続くと、あきる。空白は、常に何かをやれ、何かをやれと迫ってくるようになります。

 人間に生まれて、近代世界に生きているからには、人は未来に向かって何かを構築するように生きていかなければなりません。

 本当はそんな原則は自然界には存在しないのですが、それが近代人の魂というものです。

 空白は、何をやっても自由だという希望の可能性であると同時に、前向きに何かを行なうことを常に強いてくるものでもあるのです。

 だから、雨音は安心します。

 そこには空白がないからです。