2012年8月27日月曜日

◆『ビアンカ・オーバースタディ』感想

ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)
ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)

 ご存じ筒井康隆の、ライトノベル・デビュー作。しかもそうでありながら、あとがきには「もう書く気はない」と見事なまでにやる気のなさを吐露しているというすさまじさ。

 内容はというと、確かにライトノベルになっています。

 学園で一番人気の美少女・ビアンカが、その好奇心から、男子生徒や教師たちを「使って」トンでもない実験を行います。そしてそれが思いも寄らない事態に発展していったものだから、未来人の案内でタイムマシンにより過去に戻ったり未来に行ったりするのです。

 では彼女たちがそこで目にする未来世界とはどんなものなのか? もうそのへんは、読んでみてのお楽しみ。大丈夫、立ち読みでも気楽に読めます。僕は立ち読みで済ませました。

 いわば「筒井康隆のライトノベルふう時をかける少女」ということになるのでしょうが、印象としてはちょっと違うかな。ツツイはきっと、ライトノベルという媒体の可能性と、その作法と、そしてかつて自分が『時をかける少女』で使ったタイムスリップという要素を実験的に組み合わせてみただけなのではないでしょうか。

 御大にとっては、気楽なものだったんじゃないかな。もう、何もかもが確信犯的に書かれたとしか思えない、そういう作品でした。

 往年の『時をかける少女』ファンがこれを読んだら、もう清々しいまでにイメージぶち壊しになると思います(笑)

 そして最終的に、この作品に対して僕がいちばん強く思うのはひとつだけ。「筒井康隆かっこよすぎ」。77歳になって、こういうジャンルにきちんと進出してひとつの作品を仕上げられるのは尊敬に値します。どうせ作家になるのなら、僕もこれくらいパワフルにいきたいものです。