2012年8月1日水曜日

◆「運命の一冊」「人生を変えた一冊」は、ない。

たまに「私の人生を変えた一冊」とか「私の運命を決定した一冊」という、派手な枕詞で本が紹介されることがありますね。

 この「人生を変えた一冊」「運命の一冊」というのは、そんなに珍しくないものなのでしょうか? 読書家なら、必ずそういうのが一冊はあるものなのでしょうか?

 僕は、ありません。

 ある作品を読んで、劇的に影響を受けるということはあまりないんですよ。

 むしろあとになってじわじわボディーブローのように利いてくることのほうが多いですね。気がついてみると毎日あの作品のことばっかり考えている。あの作品のあの言葉が頭から離れない。ああ僕は恋してるんだな~……という感じでようやく自覚するのです。

 ですから、自覚がないうちに、ゆるやかに軌道が変わっているということもありそうです。うん、多分あるでしょう。僕が個人的に衝撃を受けた作品というのはもちろん何冊かありますが、それは氷山の一角であって、他にもいろんなものに影響を受けて今の軌道になっているんだと思います。

 また、ある一冊の本に衝撃を受けたとしても、その衝撃は、そこまでの読書の積み重ねがあったからこそ――かも知れませんしね。

 読書って一期一会だと思いますし、感動の可能性は一冊一冊に宿っているのですから、読書家なら一冊読むごとに人生が変わる、といったって過言ではないんじゃないかな。

 もしかすると、「運命の一冊」「人生を変えた一冊」を強調する人というのは、それまであまり本を読まなかった人なのかも知れませんね。滅多に読まないからこそ、たま~に面白いのを読むと新鮮でびっくりするのではないでしょうか。もちろん一概には言えないでしょうけど。

 僕が言いたいのはただひとつ。一冊だけじゃなくてもっと読もうよ、ということです。