2012年7月11日水曜日

◆『アリアドネの弾丸』感想

アリアドネの弾丸
アリアドネの弾丸
 ご存じ『バチスタ』から続く田口・白鳥シリーズの最新刊です。

このシリーズは、考えてみるとミステリらしいミステリだったのは『バチスタ』と『ナイチンゲール』の2作くらいでした。後の『ジェネラル』『イノセント』は医療策謀小説とでも呼べるような趣でした。

では今回のはどうかというと、まさに「原点回帰」。ミステリとしての『バチスタ』に胸をときめかせた読者にとっては実に嬉しい、あくまでも謎解きがメインのミステリ小説に仕上がっております。

もちろん、だからといって『バチスタ』と大して変り映えのない作品かというと、全然そんなことはありません。作者は『バチスタ』以来、エーアイ導入を巡る策謀とそれに関わる個性的なキャラクターたちの人間関係を描き続けてきましたが、それが土台となって今回、いよいよ大輪の花が咲いたような印象です。

そして、さらに物語は続きます。海堂作品を貫くテーマであるエーアイの導入も作品世界ではどんどん進んでおり、それゆえに次の作品はこれまでにない大事件が起きそうな気配すらします。乞うご期待、ですね。……個人的には斑鳩さんの活躍に期待大! なのですが。


それにしても文庫版の島田荘司の解説は、なんか「頼まれて仕方なく書いた」みたいな匂いがプンプンするなあ。